著者のコラム一覧
鈴村裕輔野球文化学会会長・名城大准教授

1976年、東京都出身。法政大学博士(学術)。名城大学外国学部准教授。主な専門は政治史、比較思想。野球史研究家として日米の野球の研究にも従事しており、主著に「MLBが付けた日本人選手の値段」(講談社)がある。スポーツを取り巻く様々な出来事を社会、文化、政治などの多角的な視点から分析している。アメリカ野球学会会員。

球団経営権めぐる禍福…パドレスは骨肉の争いで壮絶内紛中、佐々木朗希獲得失敗の一端になったか

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 こうした球団経営権の相続をめぐる争いは、24年3月に死去したオリオールズの経営者ピーター・アンジェロスの子どもたちの間でも起きている。

 しかも、アンジェロスの健康問題が顕著になった2010年代から、子どもたちは互いに経営の主導権が自分にあると主張して譲らなかった。そのため、大リーグ機構から誰が正式な管理監督者か報告するよう指示が出されるなど、球団経営は混乱した。18年から22年までの間で勝率2割台が1回、3割台が2回とオリオールズの成績が低迷した一因は、経営陣の権力争いに求められる。

 一方、ヤンキースのためならすべてをつぎ込んだジョージ・スタインブレナーに対し、球団の経営権を継承した子どもたちは堅実な運営に徹している。一代で球界の名門を手にした先代と家業として運営に臨む後継者たちの違いはあっても、経営権に関する争いのないことが選手たちに安心感を与えているのは間違いない。

 このほかにも、子どもたちに継承させたいものの、当人たちが関心を示さないために引退できないままのエンゼルスのアーティ・モレノ、死後8年間は遺産から経営資金を提供し、その後、新しい所有者を決定するとして円滑な事業継続を実現したロイヤルズの故ユーイング・カウフマンら、社会的成功の証しでもある大リーグ球団の経営権にはさまざまな出来事が伴っているのである。

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