いよいよ見えてきた阪神「藤川野球」の内幕…岡田前監督の逆を行く“ボトムアップ型”と“管理主義”
「藤川さんの野球をやってほしい」
阪神の藤川球児新監督(44)は昨年、球団から就任要請を受けた際、こう口説かれたという。
指導者経験ナシから就任し、キャンプも終了。徐々に「藤川野球」が見えてきた。
「一切、グラブもバットも持ちません」
藤川監督はキャンプ中、元中日監督の谷繁元信氏によるテレビインタビューでこう言った。
日本の監督はノックバットを片手に練習を見守るケースが多いが、ノックを打つというより、杖の代わりやストレッチの補助具として使っていることがほとんど。メジャーではバットやグラブを持つ監督は極めてまれだ。
藤川監督がバットやボールを持たないのは、<監督が選手にアレコレ指導しない、指導は基本的にコーチに任せる>という意思表示だという。
「このあたりは前任の岡田彰布監督(67)とは大きく違うところです」と、コーチ経験のある球団OBがこう続ける。
「岡田前監督は打撃フォームに口を出すだけでなく、直接指導することも少なくなかった。試合でも盗塁などの作戦はベンチ主導。昨季は選手に任せた部分もありましたけど、いわゆる『トップダウン型』の指揮官。一方の藤川監督は『ボトムアップ型』を目指しているように見えます。キャンプ中は選手に声をかけたり助言したり、意見を聞いたりする程度。開幕投手の村上のブルペン投球を見て、『ちょっと(球が)抜け気味になってるよ』と言葉をかけたそうですが、かといって身ぶり手ぶりで指導することはない。藤川監督にはメジャー経験があり、メジャーの指導者に影響を受けている。選手やコーチの自主性を尊重し、彼らの意見も集約をしながら、指揮を執りたいのです」
第3クールではこんなやりとりが見られた。
藤川監督が早出練習する佐藤輝に歩み寄り、佐藤輝は正座姿で話を聞いていた。藤川監督は笑顔も見せていたが、前出のOBは、「メジャーへの思いについて聞いたようです」と、こう続ける。
「佐藤輝は昨オフにポスティングによるメジャー挑戦を直訴。5、6日に行われる侍ジャパンの強化試合のメンバーに選ばれた。かねて米球界志向、メジャーへの思いは強いが、これを実現するにはまだまだレベルアップが不可欠。藤川監督はメジャーのレベルを肌で知っているだけに、謙虚に足元を見つめて夢に向かって進んでほしいという気持ちを伝えたのではないか。同じくメディアにメジャー志向を公言した才木や森下にも同じ話を伝えたと聞きました」
そんな中、「藤川野球」が批判されたことがあった。