「包丁侍 舟木伝内」陶智子、綿抜豊昭著
江戸時代に加賀藩前田家の料理に携わった料理人・舟木伝内包早(かねはや)と子孫の生涯を追い、その料理哲学に迫った歴史エッセー。
加賀料理の源流ともいえるその料理は、「圧倒的な知識と卓越した発想にあふれ」藩主らをうならせたという。
加賀藩の重臣奥村家の料理人だった包早は、21歳で「御料理人」として召し出され御台所御用を務めることになる。時の藩主は、5代綱紀。以来、代々の藩主につかえ、58歳にして領地を与えられるまでに出世、子の安信は御料理人の頂点にまで上りつめる。綱紀が好んだ献立なども紹介しながら一族の仕事を詳述。さらに舟木家の料理書をもとに加賀の大名料理の数々を再現する。
(平凡社 1600円)