「さとり世代」原田曜平著
■若者論
「いまどきの若いヤツらは……」は昔からの決まり文句。それにしてもいまどきの若者たちはわかりにくいのです。
■不幸な国の幸福な若者たちのホンネ座談会
現代の若者たちは悪評高い「ゆとり教育」を受けた子どもたち。それゆえ「ゆとり世代」の通称は蔑称のニュアンスまで含んできたのも事実だ。しかしそれじゃ若者たちだっていい気分はしない。そこで登場したのが「長期の不況で生まれたときから好景気を知らず、すっかり世の中についてさとった気持ちでいる」という意味合いをこめた「さとり世代」だ。
起源はネットの掲示板。それを新聞がとりあげて「さとり世代のスポークスマン」と紹介したのが本書の著者。博報堂の「ブランドデザイン若者研究所」のリーダーとして、対若者マーケティングのプロという世評を確立している。
本書は著者が「現場研究員」と呼ぶ大学生たちのホンネ座談会。さとり世代はバブル期の若者と違って物欲が希薄で小さな幸せに満足する。だが、ツイッターやLINEなどでの仲間づきあいにはひどく敏感で大人には理解不能な面を持つ。これが「不幸な国の幸福な若者たち」などと呼ばれたりもするゆえんだ。それゆえに「企業側がさとり世代に新しいモノを提示できて」おらず、上司も新入社員との接し方に頭を悩ますのである。