正岡子規の青春を描いた最新作が話題 伊集院静氏に聞く

公開日: 更新日:

 子規の作品を片っ端から読み漁り、より深く知っていくにつれて、彼は現代人が抱いているような悲劇的なイメージとはかけ離れた人物ではないかと、著者は感じるようになったという。

「とにかく、子規の周りには多くの人が集っていた。伊藤左千夫や高浜虚子、長塚節などのちの文学者たちが、“ノボさん”を慕っていたんです。現代では、若くして病に倒れて亡くなったことをクローズアップされていますが、悲哀ばかりが漂う人にこれほど人を引き付ける力があるはずがない。だから、私の正岡子規は、悲しいばかりの人物にはなりませんでした」

 やがて子規は大学で、生涯の友となる人物と出会う。彼の名は夏目金之助。のちの漱石である。ふたりは同じ年齢で、共に落語を楽しみ、漱石は子規から俳句を学んでいた。
「本作は、子規と漱石の友情の物語でもあります。私は、日本の近代文学はこのふたりの友情から始まったと思っています。彼らが出会い、影響を受け合い、やがて漱石は小説を書き始める。その作品には、俳句を通して子規から学んだユーモアが生かされています。ふたりは、“親友”という表現では軽いような、お互いを認め合い高め合う素晴らしい関係で、生涯でそのような相手に出会えた彼らを、うらやましくも感じます」

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「たばこ吸ってもいいですか」…新規大会主催者・前澤友作氏に問い合わせて一喝された国内男子ツアーの時代錯誤

  2. 2

    インドの高校生3人組が電気不要の冷蔵庫を発明! 世界的な環境賞受賞の快挙

  3. 3

    中森明菜が16年ぶりライブ復活! “昭和最高の歌姫”がSNSに飛び交う「別人説」を一蹴する日

  4. 4

    永野芽郁「二股不倫」報道で…《江頭で泣いてたとか怖すぎ》の声噴出 以前紹介された趣味はハーレーなどワイルド系

  5. 5

    永野芽郁“二股不倫”疑惑「母親」を理由に苦しい釈明…田中圭とベッタリ写真で清純派路線に限界

  1. 6

    田中圭“まさかの二股"永野芽郁の裏切りにショック?…「第2の東出昌大」で払う不倫のツケ

  2. 7

    永野芽郁“二股肉食不倫”の代償は20億円…田中圭を転がすオヤジキラーぶりにスポンサーの反応は?

  3. 8

    雑念だらけだった初の甲子園 星稜・松井秀喜の弾丸ライナー弾にPLナインは絶句した

  4. 9

    「キリンビール晴れ風」1ケースを10人にプレゼント

  5. 10

    オリックス 勝てば勝つほど中嶋聡前監督の株上昇…主力が次々離脱しても首位独走