「嫌われる勇気」岸見一郎、古賀史健著

公開日: 更新日:

■悩める青年と哲人との対話形式で説くアドラーの思想

 本書は、フロイトが提唱したトラウマなどの原因論を否定し、人間はみな「なにかしらの目的に沿って生きている」とする目的論を打ち出したアドラーの個人心理学の精髄を、悩める青年とそれに答える哲人との対話という形式で紹介したもの。「いまのあなたが不幸なのは自らの手で〈不幸であること〉を選んだからである」「これまでの人生になにがあったとしても、今後の人生をどう生きるかについてなんの影響もない」「自由とは、他者から嫌われることである」……。

 これら哲人の言葉に対して青年は、それは単なる理想論だ、そんな考えをできるはずがないと食ってかかる。一方、哲人は、「世界とは、他の誰かが変えてくれるものではなく、ただ〈わたし〉によってしか変わりえない」ことをアドラーの思想に沿って懇切丁寧に説いていく。

 読者もまた最初はアドラー心理学の独特な考え方に戸惑いながらも、読み終えたときには自分を変えられるかも知れないと感じることができる。

 既成概念を取り除かれ、新たな思想に目を開かれたときのすがすがしさは感動的ですらある。

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 2

    米挑戦表明の日本ハム上沢直之がやらかした「痛恨過ぎる悪手」…メジャースカウトが指摘

  3. 3

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  4. 4

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  5. 5

    巨人「FA3人取り」の痛すぎる人的代償…小林誠司はプロテクト漏れ濃厚、秋広優人は当落線上か

  1. 6

    斎藤元彦氏がまさかの“出戻り”知事復帰…兵庫県職員は「さらなるモンスター化」に戦々恐々

  2. 7

    「結婚願望」語りは予防線?それとも…Snow Man目黒蓮ファンがざわつく「犬」と「1年後」

  3. 8

    石破首相「集合写真」欠席に続き会議でも非礼…スマホいじり、座ったまま他国首脳と挨拶…《相手もカチンとくるで》とSNS

  4. 9

    W杯本番で「背番号10」を着ける森保J戦士は誰?久保建英、堂安律、南野拓実らで競争激化必至

  5. 10

    家族も困惑…阪神ドラ1大山悠輔を襲った“金本血縁”騒動