ファッション雑誌の編集者を志望して出版社に就職した悦子だったが、配属されたのは校閲部。それでも、いつか異動になると信じて完璧に仕事をこなしていた。
目下、取り組んでいるのは、エロミステリー界の大御所・本郷の作品だ。前回、本郷の作品を校閲した際に、悦子は登場人物の若い女性たちの古色蒼然とした言葉遣いに呆れ、参考資料を添付して突き返した。本郷は怒り、原稿も直さなかったが、なぜか今回も悦子を校閲に指名してきた。
本郷の新作を読み込んだ悦子は、主人公の移動時間に誤りがあることに気づく。
マイナーな校閲部門を舞台にした連作エンターテインメント。
(KADOKAWA 1200円)