『誤解だらけの「食の安全」』有路昌彦著
“家庭で作ったパンと違い、市販のものがなかなかカビないのは薬漬けの証拠、食べ続けるのは危険だ”
世の中には食品についてのこんな噂があるが、本当なのか。「食べ物に関する風評被害の防止方法の開発と実践」をテーマに研究している著者によると、市販のパンが腐らないのはパン工場が台所の何倍も清潔で、袋詰めされた後では腐りにくいから。そもそもリスクゼロの食品などなく、流通している食品は「十分低いリスクに抑えられた食品」だそうだ。
「安全と安心は違う」「風評被害は安全と安心の違いで生じる」「怖がり過ぎがむしろ危険を選ぶ」「リスクは量である」の4つの基礎知識があれば、リスク情報特有のウソを見分けられるという。危険な食品に恐れおののく人に薦めたい一冊。
(日本経済新聞出版社 850円)