「星星の火」 福田和代著

公開日: 更新日:

 上月は警視庁生活安全部保安課の刑事。官舎の隣には警視庁通訳センターに所属する中国語専門通訳の城が住んでいた。城も本来刑事志望だったが、妻が娘を残して家を出たため、娘の養育ができるよう勤務時間の決まった現職に異動したのだ。中国人絡みの事件の増加に伴い、上月が城と共に捜査に当たる機会も多い。上月が摘発した東京・池袋の違法パチスロ店の容疑者・李の取り調べにも城は駆り出された。

 城の巧みな誘導で、李の背後に「竜生九子」という新興の中国人犯罪組織が関係していることが判明。城は自前の在日中国人ネットワークを駆使して竜生九子の情報を集め始めた。その矢先、戻ってきた城の妻・凜子と娘のホノカが何者かに拉致されてしまう。妻子を危険にさらしてしまった責任を感じ、辞職覚悟で犯人を追い詰めていく城。城の暴走を抑えつつ、地道な捜査で真相に迫る上月――。

 破格の通訳捜査官と生真面目な刑事という異色コンビが繰り広げる、新しいタイプの警察小説。複雑な在日中国人社会にも新たな光が当てられ、続編が期待される。

(双葉社 1500円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    “3悪人”呼ばわりされた佐々木恭子アナは第三者委調査で名誉回復? フジテレビ「新たな爆弾」とは

  2. 2

    フジテレビ問題でヒアリングを拒否したタレントU氏の行動…局員B氏、中居正広氏と調査報告書に頻出

  3. 3

    菊間千乃氏はフジテレビ会見の翌日、2度も番組欠席のナゼ…第三者委調査でOB・OGアナも窮地

  4. 4

    中居正広氏「性暴力認定」でも擁護するファンの倒錯…「アイドル依存」「推し活」の恐怖

  5. 5

    大河ドラマ「べらぼう」の制作現場に密着したNHK「100カメ」の舞台裏

  1. 6

    フジ調査報告書でカンニング竹山、三浦瑠麗らはメンツ丸潰れ…文春「誤報」キャンペーンに弁明は?

  2. 7

    フジテレビ“元社長候補”B氏が中居正広氏を引退、日枝久氏&港浩一氏を退任に追い込んだ皮肉

  3. 8

    下半身醜聞ラッシュの最中に山下美夢有が「不可解な国内大会欠場」 …周囲ザワつく噂の真偽

  4. 9

    フジテレビ第三者委の調査報告会見で流れガラリ! 中居正広氏は今や「変態でヤバい奴」呼ばわり

  5. 10

    トランプ関税への無策に「本気の姿勢を見せろ!」高市早苗氏が石破政権に“啖呵”を切った裏事情