著者のコラム一覧
北上次郎評論家

1946年、東京都生まれ。明治大学文学部卒。本名は目黒考二。76年、椎名誠を編集長に「本の雑誌」を創刊。ペンネームの北上次郎名で「冒険小説論―近代ヒーロー像100年の変遷」など著作多数。本紙でも「北上次郎のこれが面白極上本だ!」を好評連載中。趣味は競馬。

「判決破棄(上・下)」マイクル・コナリー著、古沢嘉通訳

公開日: 更新日:

 マイクル・コナリーには、「ハリー・ボッシュ」シリーズと、「リンカーン弁護士」シリーズがある。どちらも人気シリーズだが、この2つが合体したらどうなるだろうという興味に応えた作品が本書。すなわち、「リンカーン弁護士」のミッキー・ハラーと、ハリー・ボッシュが共演する長編だ。

 どちらがゲストというわけではなく、どちらのシリーズでもあるとの趣向がミソ。つまり法廷の中を担当するのがミッキーで、法廷の外で調査を担当するのがボッシュ。どちらも主役なのである。交互に語り手となって物語は進んでいく。

 少女殺害事件で死刑判決を受けて24年間服役していた男の再審請求が認められ(DNA鑑定で、被害者のワンピースについていた精液が服役囚のものでないことが判明したのだ)、その裁判で特別検察官を務めるのがミッキー・ハラー。弁護士の彼が検察官を務めるのだ。その助手がボッシュ。圧倒的に不利な裁判を彼らがどう戦うのかが読みどころで、いやあ、たっぷりと読ませて飽きさせない。

 相変わらずコナリーはうなるほどうまい。2014年に翻訳の出たコナリー作品としては、「ナイン・ドラゴンズ」の方が上位かもしれないが、これも十分に面白いというところにコナリーの凄さがある。

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「たばこ吸ってもいいですか」…新規大会主催者・前澤友作氏に問い合わせて一喝された国内男子ツアーの時代錯誤

  2. 2

    インドの高校生3人組が電気不要の冷蔵庫を発明! 世界的な環境賞受賞の快挙

  3. 3

    中森明菜が16年ぶりライブ復活! “昭和最高の歌姫”がSNSに飛び交う「別人説」を一蹴する日

  4. 4

    永野芽郁“二股不倫”疑惑「母親」を理由に苦しい釈明…田中圭とベッタリ写真で清純派路線に限界

  5. 5

    田中圭“まさかの二股"永野芽郁の裏切りにショック?…「第2の東出昌大」で払う不倫のツケ

  1. 6

    大阪万博会場は緊急避難時にパニック必至! 致命的デザイン欠陥で露呈した危機管理の脆弱さ

  2. 7

    永野芽郁「二股不倫」報道で…《江頭で泣いてたとか怖すぎ》の声噴出 以前紹介された趣味はハーレーなどワイルド系

  3. 8

    レベル、人気の低下著しい国内男子ツアーの情けなさ…注目の前澤杯で女子プロの引き立て役に

  4. 9

    永野芽郁“二股肉食不倫”の代償は20億円…田中圭を転がすオヤジキラーぶりにスポンサーの反応は?

  5. 10

    芳根京子も2クール連続主演だが…「波うららかに、めおと日和」高橋努も“岡部ママ”でビッグウエーブ到来!