「退職金貧乏」塚崎公義著
老後の生活のための“虎の子”である退職金。しかし、長生きしているうちにインフレが進み、いつの間にか大切な蓄えが底をつくという最悪の事態も起こり得る。
塚崎公義著「退職金貧乏」には、投資の経験や知識が少ない人のための資産運用術が記されている。
長生きのリスクとインフレのリスクの両方に対応できる、いわば“守りのマニュアル”だ。
ちまたでは“老後には1億円が必要”などという情報が出回り不安をあおるが、本書では65歳時点で、退職金も含めて2000万円程度あれば十分としている。ただし、年金の受け取りは標準的なサラリーマン夫婦で32万円が受給できる70歳まで我慢するのが理想だ。70歳以上の無職世帯の平均支出は月26万円であるため、年金で十分に暮らしていける。しかし、不慮の出来事やインフレによる生活費増加に備えて、やはり資産運用を行っておきたい。
本書ではモデルケースを設定しながら、“長生きしても大丈夫”な資産運用の手順を分かりやすく紹介している。70歳時点では、金融資産は銀行預金と物価連動国債、変動金利型国債が10%ずつ、日本株と外貨が35%ずつという配分になっているのが、インフレにも耐えられる理想の形だという。