「大坂誕生」片山洋一著
慶長20年5月、松平忠明は伊勢亀山5万石の大名ながら、大坂の陣での功績が認められ、家康より灰燼と化した大坂の再興を命じられる。
大坂城預として西国大名を采配する権限を与えられた忠明は、決死の覚悟で大坂に乗り込む。しかし、どこから手をつければよいのか見当もつかない。忠明は城の再建を勧める臣下の提案を退け、幕府から派遣されてきた国目付・山田清太夫が提案する水道整備、さらには三の丸を破却して町衆に開放するという案を採用。さらに反骨精神に満ちた大坂人の統制に頭を悩ます忠明は、京都所司代・板倉勝重に教えを請う。
第6回朝日時代小説大賞優秀作。(朝日新聞出版 1500円+税)