「星砂物語」ロジャー・パルバース著
16歳の少女、梅野洋海はロサンゼルスで生まれたが、昭和16年に父に連れられて帰国。アメリカに残った日系2世の母と兄は日系人収容所に入れられた。洋海は八重山諸島の鳩間島に移り、空き家に入り込む。ある日、浜辺で星砂を採っていたとき、拳銃で頭を撃とうとしている男を見た。すると、洞窟から兵隊が現れて拳銃をひったくった。男は18歳のアメリカ兵ボブで、殺されるはずだった日本兵を逃がしたため、懲罰を恐れて軍を抜け出してきたのだった。洋海は脱走兵の岩淵とともに洞窟でボブの看病をすることに……。
戦争末期の沖縄の小島を舞台に繰り広げられる、美しくて悲しい物語。
(講談社 1400円+税)