「南方熊楠コレクション」河出書房新社から復刊
近代日本を代表する博物学者・南方熊楠の著作で構成する「南方熊楠コレクション」が河出書房新社から復刊された。
「南方マンダラ」(1200円+税)、「南方民俗学」(1420円+税)、「浄のセクソロジー」(1420円+税)、「動と不動のコスモロジー」(1200円+税)、「森の思想」(1420円+税)の全5巻構成。
熊楠は生物学、民俗学など幅広い分野で活躍し、昨年、小保方晴子のSTAP細胞論文問題で話題になった英「ネイチャー」誌では彼の論文が51回も掲載されるなど世界的に認められた学者である。
また、熊楠は性の思想家でもあり、特に男性の同性愛については大変な興味を持っていて、男の同性愛の世界には、男性社会特有の道徳や人間的威厳があり、高い精神的な価値が生み出せると考えていた。編者の中沢新一は解題で、熊楠がエロチシズムへの深い関心を持ちながらも、41歳で結婚するまで童貞で、生涯で妻以外の人と性交渉をしなかったことを自慢していたエピソードを明かしている。
彼の著作は90年代前半に文庫化され、学術書としては異例の売れ行きを示して10刷を超えた。だが、およそ10年で惜しまれつつ販売終了となり、このたびは満を持しての新装版復刻となる。