「フォト・ストーリー沖縄の70年」石川文洋著
沖縄出身で「在日沖縄人」を自称する戦場カメラマンが、故郷の戦争と基地についてつづったフォトエッセー。
作家だった父が創作活動の場を広げるため一家で沖縄から移住。戦時下、船橋で過ごした少年時代の食糧難体験や、戦火を逃れた祖母から聞いた話が、後のベトナム戦争取材で目撃した人々の悲劇と重なり、戦争を考える上での原点になったと著者はいう。沖縄戦を生き残った人々や南洋諸島に移住した沖縄人たちの戦争体験、そしてベトナム戦争時の沖縄米軍基地取材に始まり、本土復帰から現在に至るまでの沖縄の基地反対運動の歴史まで。自らのルーツと向き合いながら沖縄の取材を続けてきた著者の集大成。
(岩波書店 1020円+税)