「リバース」湊かなえ著
主人公は、オフィス機器や事務用品を扱う会社に勤めるサラリーマン・深瀬和久。特に夢もなく平凡な日々を送っていたが、唯一コーヒーをうまくいれることだけには自信があった。
そんなこともあってコーヒー豆専門店で知り合った越智美穂子と付き合いはじめ、人生に明るい兆しが見えてきたかと思ったとき、「深瀬和久は人殺しだ」と書かれた手紙が美穂子の勤務先に届く。
問い詰められた深瀬は、かつて事故死した友人・広沢由樹のことを思い出す。その事故当時に関わりのあった同じゼミ生に連絡をとると、彼ら全員に同様の手紙が届けられていた。事故死した広沢は酒を飲んで車を運転したのだが、ゼミ生の誰もが彼の運転を止めなかったのだ。
いったい誰が手紙を出したのか。真相を知るべく、深瀬は広沢の人生をさかのぼって調べ始める。そこで明らかにされた事故死の真相とは……。
「告白」で本屋大賞を受賞して以降、ミステリーの旗手として注目を浴び続ける著者による最新作。今まで知らなかったかけがえのない友人の過去を掘り起こした末に、主人公が最後に見つけた真実が衝撃的だ。(講談社 1400円+税)