「うらやましい人生」ミッツ・マングローブ著
「奇麗ですね」と言われても喜べない。本来ゲテモノであるべき「女装家」にとってはうれしくない言われ方だし、オカマとしても中途半端。でも、その中途半端さが、大衆にとってはちょうどいいゲテモノ世界への「入門編」なのでないかと、自分の存在を冷めた目で分析する。これでもうらやましい? と読者に鋭く問いながら、ミッツは自分で切り開いた退屈しない人生を前に向かって進んでいる。
(新潮社 1300円+税)