日本のテレビの特撮ヒーロー番組は「月光仮面」に始まる。当時のテレビ映画はすべてアメリカの輸入作品で、支払いもドル。そこで、外貨流出を食い止めるために低予算の国産ドラマが作られることになった。正義の味方、月光仮面のキャッチフレーズは「憎むな、殺すな、赦しましょう」だった。後のウルトラマンは事情がある怪獣は宇宙へ帰してやった。仮面ライダーが怪人を殴るときには拳の痛みが伝わってきた。昭和のヒーローの作り手たちは第2次大戦を経験していたことから、〈非戦〉の願いを込めていたのだ。
ヒーロー番組を現実世界との相関という視点から読み解いた、スルドイ一冊。(集英社 1389円+税)