創造神としての意気込みと覚悟
「凄い!ジオラマ」情景師アラーキー著
「スーパーリアルな模型」で現実世界を作り出す作家登場。帯には「情景師」とある。ジオラマ作家にして、カメラマン、執筆者、イラストレーターを兼ねる多才ぶり。ウルトラマンから宮崎駿まで、特撮モノやアニメの影響も隠さない。そんな著者渾身の「作品+解説」集。
冒頭、著者のジオラマ観の一端が明かされる。
「日本にはミニチュアを楽しむ風習が昔からあり、盆栽文化はまさにジオラマそのもの……小さい物が大好きな国民ですから……」
A5判、並製。本文は、表4色/裏1色。折丁にすると、カラーとモノクロの見開きが交互に並ぶ。この展開を利用した台割が奏功。つまり「作品写真→解説」のセットがとても分かりやすい。見て読む、愉しみ。具体的なノウハウを惜しみなく紹介しながら、ディテールに迷い込むことなく、平易で明快なプレゼンテーションになっている。
さて、全編を貫くのは「無いものは創ろう」という「創造神」としての意気込みと覚悟だ。
「(映画のワンシーンではなく)映画のセットを再現したかった」「ジオラマの『リアルの追求』とはなにか」「影が出来るように凹凸をつくる『造型』と、光の反射や吸収を考慮した『質感』が重要」……等々。