「富士山噴火」高嶋哲夫著
富士山の麓、静岡県御殿場市にある養護老人ホームの施設長、新居見充は、元陸上自衛隊のヘリパイロット。3年前の平成南海トラフ大震災のとき、的確な判断で被災者を救ったが、自らの妻子を助けることはできなかった。
ある日、旧友の新聞記者、草加に富士山噴火の兆候があると知らされた。若い火山学者から1週間以内に噴火の可能性があると聞き、ホームの入居者を避難させることを決意する。
理事長は反対したが、そのとき、大地が揺れ、富士山山頂から白煙が上がった。新居見は陸自の協力を得て入居者を静岡市に避難させると、御殿場に戻り、市長に頼まれて市民の避難計画をサポートする。
10時間以内に御殿場、裾野、三島、沼津の市民を避難させなくてはならない。火山灰が電気機器や電子機器のすき間に入り込み、消防車が立ち往生。被害は東京にも及ぶ。
やがて富士山が爆発して溶岩を噴きあげ、マグマが富士宮市と富士市を襲う。アメリカ海軍の原子力空母に救助を要請し、海からの避難を試みるが……。