「黒闇」草凪優氏

公開日: 更新日:

 官能小説には不要とされる人間性や愛を描くうちに、登場人物への愛情が高まりすぎたともいう。

「美奈子という女が42歳のヨゴレでね、官能小説ではありえないキャラなんです。だいたい絶世の美女とか学園のマドンナですからね。人物はすべて僕の分身ですが、彼女のことは好きになりすぎて、毒にあたったほど」

 そこまでの愛情を抱きながら、ほぼ全員をひどい目に遭わせていくのが、草凪節とも言えるだろう。

「人生はそんなもんでしょ。みんな欲しがり過ぎなんです。恋が実って一瞬でも幸せならいいじゃない? それくらい謙虚に生きれば、楽しい人生が待っていると僕自身も思いたいんですね」

 人それぞれのとらえかたはあるが、これは純愛小説だという声もある。

「純粋性欲小説かな。僕は官能作家の中でもノーマルですから。他はド変態ばかり! 女性の唾液を飲みたがる人や、痴漢と覗きで犯罪者みたいな人もいる。そんな中で真面目に愛を語るのはバカみたいだけどね(笑い)」

 エロスの中心で愛を叫ぶ草凪文学の新機軸に刮目したい。(実業之日本社 1800円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    西武ならレギュラー?FA権行使の阪神・原口文仁にオリ、楽天、ロッテからも意外な需要

  2. 2

    家族も困惑…阪神ドラ1大山悠輔を襲った“金本血縁”騒動

  3. 3

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  4. 4

    兵庫県知事選・斎藤元彦氏の勝因は「SNS戦略」って本当?TV情報番組では法規制に言及したタレントも

  5. 5

    小泉今日子×小林聡美「団地のふたり」も《もう見ない》…“バディー”ドラマ「喧嘩シーン」への嫌悪感

  1. 6

    国内男子ツアーの惨状招いた「元凶」…虫食い日程、録画放送、低レベルなコース

  2. 7

    ヤンキース、カブス、パドレスが佐々木朗希の「勝気な生意気根性」に付け入る…代理人はド軍との密約否定

  3. 8

    首都圏の「住み続けたい駅」1位、2位の超意外! かつて人気の吉祥寺は46位、代官山は15位

  4. 9

    兵庫県知事選・斎藤元彦氏圧勝のウラ パワハラ疑惑の前職を勝たせた「同情論」と「陰謀論」

  5. 10

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇