「自由に老いる」海老坂武氏

公開日: 更新日:

 ベストセラー「シングル・ライフ」から30年。副題は「おひとりさまのあした」。独身者という言葉に代わって「シングル」は名実共にすっかり市民権を得た。だが、老いるにつれて不安や心配はないだろうか。

「ふたりで老いていく人のほうが、ぼくは悲惨じゃないかという気がするんですよ。相手が亡くなっていく姿を見ていると、お互いにつらいのではないか。大体は亭主が奥さんに介護してもらって先に死んで、妻は子どもに……となりますが、その順番でいくとも限らないしね。新聞記事を見ても、介護疲れなのか、妻を殺す事件もありますよね。ひとりの場合は、自分のことをどうにかすればいいんです。ぼくは、戦後の雑然とした世の中に育ってきましたからね、なるようになれ、ということが根本にあるのかもしれません」

 大学を定年退職後、沖縄やパリ、芦屋を移り住む止まり木生活をし、イタリア語の勉強、テニス野球を満喫していた。ところが70歳で難聴になり、いや応なく老いと向き合うことに。偏屈、せっかち、怒りっぽい、無感動、昔話をするなど、老人の特徴が自分に当てはまるか自己分析していく筆致はユーモラスで知的。認知症や介護の暗い話題は出てこない。

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    中居正広氏《ジャニーと似てる》白髪姿で再注目!50代が20代に性加害で結婚匂わせのおぞましさ

  2. 2

    中居正広氏は元フジテレビ女性アナへの“性暴力”で引退…元TOKIO山口達也氏「何もしないなら帰れ」との違い

  3. 3

    佐藤健は9年越しの“不倫示談”バラされトバッチリ…広末涼子所属事務所の完全否定から一転

  4. 4

    広末涼子容疑者は看護師に暴行で逮捕…心理学者・富田隆氏が分析する「奇行」のウラ

  5. 5

    パワハラ告発されたJ1町田は黒田剛監督もクラブも四方八方敵だらけ…新たな「告発」待ったなしか?

  1. 6

    矢沢永吉「大切なお知らせ」は引退か新たな挑戦か…浮上するミック・ジャガーとの“点と線” 

  2. 7

    中日井上監督を悩ます「25歳の代打屋」ブライト健太の起用法…「スタメンでは使いにくい」の指摘も

  3. 8

    フジテレビ問題でヒアリングを拒否したタレントU氏の行動…局員B氏、中居正広氏と調査報告書に頻出

  4. 9

    広末涼子容疑者「きもちくしてくれて」不倫騒動から2年弱の逮捕劇…前夫が懸念していた“心が壊れるとき”

  5. 10

    “3悪人”呼ばわりされた佐々木恭子アナは第三者委調査で名誉回復? フジテレビ「新たな爆弾」とは