「黒闇」草凪優氏

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 男を勃たせるだけでなく女をも濡らす、官能小説界の“両刀遣いのカリスマ”が恋愛小説に挑んだ。著者自身、初の単行本化に気合も十分だ。

「官能文庫はオジサンを意識してヤボなほうがいい部分があるけれど、今作は女性読者を意識して、洗練を心がけました」

 とはいえファンの期待は決して裏切らず、切なく狂おしい濡れ場もある。

「当初、濡れ場がなくてもいいと言われたんだけれど、ないとやる気がまったく出なくてね(笑い)。セックスがテーマなのは間違いないけれど、官能小説と違うのは日常のリアリティーと“愛”です」

 主人公の迫田は元ミュージシャン。35歳で無職、妻に養われるヒモ男だ。社会的に底辺の男が、ある依頼を機に人生が激変。身を売って糊口をしのぐ母娘に出会い、まっとうな日常とささやかな幸せを手に入れる。ところがそれは長く続かない……。

「人生ってうまくいくのは一瞬なんです。しかも、それを壊すのも自分の欲望だったりする。派手に遊びたいのも、まっとうで真面目に生きたいのも欲望。でも世の中で大切なのは金じゃない。シラフで語るのは恥ずかしいけれど、やっぱり愛のあるセックスが最上だと僕は思っているんですよ」

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