「今だから小沢一郎と政治の話をしよう」堀茂樹氏

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「小沢さんについては例えば、『右から左に変節した。新自由主義者だったのに、今は福祉を重視している。自己責任を言っていたのに変わってしまった』という見方があります。しかし、小沢さんは何も変わっていません。そもそも自由と責任は一対のもので、自由主義では自己責任を伴いますが、社会的連帯を排除するものではない。そうした論評は粗雑すぎます」

 その意味でも、小沢氏に対して「食わず嫌いの知識人」に、特にこの本を手に取ってもらいたいという。

「本書で実名を出しましたが、社会的に影響力のあるリベラルな言論人までが、小沢さんを誤解している。小沢さんは自らの政治理念をものすごく『やさしい言葉』で話します。国民に分かりやすくという点ではいいことなのですが、そうした平易すぎる言葉の含蓄を、インテリ層はくみ取っていないと思うんです。ですから本書では、やさしい言葉をあえて概念的、政治哲学的に“翻訳”しました。現実の日本の政治を何とかしなければならないという虚心を念頭に小沢さんの言葉を聞けば、必ず分かるはずです」

(祥伝社 1700円+税)

▽ほり・しげき 1952年、滋賀県生まれ。慶応大教授。フランス文学・哲学研究者。翻訳家。慶大大学院文学研究科修士過程修了後、仏政府給付留学生としてソルボンヌ大で学ぶ。アゴタ・クリストフ著「悪童日記」などの名訳者として知られる。

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