「陽気なギャングは三つ数えろ」伊坂幸太郎著
人の嘘を見抜くのが得意な人間嘘発見機「成瀬」、よどみなく言葉を紡ぐ演説の達人「響野」、動物をこよなく愛し動物園に足しげく通うスリの天才青年「久遠」、抜群のドライビングセンスとコンマ1秒単位の体内時計を持つ女性「雪子」は、人を傷つけないことをポリシーとする。
そんな天才強盗4人組が2年ぶりに銀行に押し入り、あざやかな手さばきで仕事を片付けるはずが、追ってきた警備員の警棒が久遠の左手に当たり、思わぬ負傷をしてしまう。
しかも、スキャンダルを嗅ぎまわるハイエナ記者・火尻が暴漢に襲われている場面に偶然遭遇し、助けてしまったばかりに左手の負傷を感づかれて付きまとわれる羽目に。さらに4人組の周囲に不穏なトラブルまで頻発し始める。果たして彼らは窮地を脱出することができるのか。
「陽気なギャングが地球を回す」「陽気なギャングの日常と襲撃」に続くシリーズ第3弾。9年ぶりの新作とあって発売するなり発行部数17万部を記録し、シリーズ累計ではすでに180万部を突破している。個性的なキャラクター4人組が繰り広げる軽妙洒脱なやりとりが楽しい。(祥伝社 840円+税)