「中野のお父さん」北村薫著
美希が勤務する出版社が主催する新人賞の社内選考会で最終候補作4作品が決まった。美希が推す「夢の風車」は、中でもダントツの出来栄えで受賞は間違いないと思われた。美希は、さっそく「夢の風車」の作者の国高に最終候補に残ったことを連絡する。受賞すれば、美希がそのまま国高の担当編集者になるのだ。しかし、当の国高は新人賞に応募などしていないと言い出す。よく聞くと、同名タイトルの小説を応募したのは2年も前で、その時は2次選考にも残らなかったという。一体何が起きたのか。美希は父に助けを求めるため、中野の実家に向かう。(「夢の風車」)
高校教師の父が娘の持ち込む出版業界の謎を解き明かす軽快ミステリー。(文藝春秋 1400円+税)