「恥ずかしい」首相の原点がわかるエピソードに納得
長い政治記者の取材に基づいて安倍の「血脈と生い立ちの秘密」を追ったこの本で驚いた後に、さもありなんと思ったのは次の事実である。
大学を出てまもなく南カリフォルニア大学に文字通り遊学した安倍は強度のホームシックにかかり、やたらと東京の実家にコレクトコールをかけてきたという。
安倍家の関係者によれば、毎晩のようにかけてくる国際電話代が10万円にもなる月が続いて、さすがに父親の晋太郎が、
「何を甘えているんだ。それなら日本に戻せ!」
と声を荒らげたとか。
それで安倍は戻ってくる。
「ウメさん、入れて」
と中学生になっても養育係の久保ウメの布団に入ってきた安倍のひ弱さは現在まで続いているのだろう。久保は安倍を「何でも自分の思う通りに運ばないと気に食わないわがままな性格」と断じている。
1回目の首相で突然辞任した時、イギリスの「フィナンシャル・タイムズ」は「武士道ではない。臆病者だ」と書き、「南ドイツ新聞」は「安倍氏の問題は自身がトップになったことにある」と報じた。日本および日本国民の問題は安倍を再び首相にし、その独裁を許してしまっていることだろう。★★★(選者・佐高信)