自民党のメディアコントロールは巧妙だ
「メディアと自民党」西田亮介著 /角川新書
政府を批判する人が、メディアから確実に姿を消している。報道ステーションの古舘伊知郎氏がMCを降板し、ニュース23も岸井成格氏がアンカーを降板する。リベラル派のコメンテーターも、ほとんど消えてしまった。
私は、こうした変化が起きている原因は、消費者のニーズが変化したからだと考えていた。テレビ局も商売だから、もし視聴率が取れるなら、多少の批判があっても、必要な人を使うからだ。
ただ、本書を読んで考えが変わった。自民党は、国民の意識を変えるようにメディアをコントロールしているのではないかと思うようになったのだ。
しかも、そのコントロールの仕方は戦前のプロパガンダのようにウソを並べるのではなく、法令に違反するのでもない。実に巧妙に、メディアが「自主規制」をするように追い込んでいるのだ。
例えば、安全保障関連法案の審議がヒートアップをするなかで「朝まで生テレビ!」に与党の議員を出演させなかったり、番組構成を無視して安倍政権を批判した元通産官僚の古賀茂明氏の謀反について、テレビ朝日を呼びつけて事情聴取をするといったやり方だ。