「山人たちの賦」甲斐崎圭著
北海道の日高山脈のふもとに住む行方さんは、30年以上の経験を持つ熊撃ち。その昔、カモ猟中に熊に遭遇した体験から、独学で熊撃ちを始め、これまでに人間のテリトリーを侵した100頭以上をとったという。
わずか7、8メートルの至近距離まで間を詰めて一発で仕留める行方さんだが、何よりも大切なのは銃の技術よりも猟師の手・足・七感となる犬だという。
本書は、ロープ1本で断崖絶壁に生える岩茸を採る群馬の松本さんや、秋田のマタギ・松橋さん、100キロ以上の荷物を担ぎ山小屋に運ぶ白馬岳のボッカ・太田さんなど、13人の日常に密着し、山で生きる人たちの暮らしと人生を追ったルポルタージュ。
(山と溪谷社 880円+税)