「スピンク合財帖」町田康著
雄犬の視点で、作家一家の日常を描く平成版「吾輩は『犬』である」。
5歳のスタンダードプードルのスピンクは、弟のキューティーとたくさんの猫、そして小説家の主人・ポチと彼の妻・美徴さんと山奥の家で暮らしている。そんな一家にミニチュアプードルのシードが加わることになった。数週間前、立ち寄った観光牧場で美徴さんがレンタルドッグの中にいたシードと出会い、ポチの反対を押し切り、引き取ったのだ。大型の希少犬種ばかりの仲間の中で縮こまっているシードが気の毒で見ていられなかったからだ。スピンクにとって、シードは感情が全くつかめず、何を考えているのか分からない犬だった。ある日、そのシードが事件を引き起こす。(講談社 850円+税)