「死仮面」折原一著
雅代の部屋で週末だけ一緒に暮らす内縁の夫・麻里夫が突然死する。遺影に使える写真もなく、雅代は友人に勧められ、人形師の三田村に亡夫の仮面の制作を依頼する。麻里夫が勤務していた学校に連絡すると、そんな名前の教員はいないと告げられる。遺品を調べると麻里夫は身元を証明するものを何も持っていなかった。さらに、雅代は夫の左手が義手だったことを死後、初めて知る。
身元の手がかりを探す雅代は、小説講座に通っていた麻里夫が残した創作ノートを読み始める。そこには中学3年の主人公が少年連続失踪事件の犯人と思われるマリオネットの仮面の男に立ち向かう物語がつづられていた。
現実と小説内小説が交錯する徹夜必至の長編ミステリー。(文藝春秋 1600円+税)