「ニセモノの妻」三崎亜記著
新婚の私は、妻の両親の勧めと資金援助で新築マンションを購入。引っ越したその日に、住む街を下見しようとジョギングに出た私は、帰路、マンションを見上げて戸惑う。8階の自分たちの部屋にしか明かりがともっていなかったのだ。
管理会社には即日完売と聞いていたし、現に駐車場は車で埋め尽くされているのに。私はその事実を妻に伝えることができない。2週間後、近くに住む小泉先輩の家を訪ねた夫婦は、唖然となる。先輩夫婦が住む一角は、2人が入居したマンションの建設反対の、のぼりが林立していたのだ。(「終の筈の住処」)
その他、ニセモノの妻と一緒にホンモノの妻を探しにいく夫を主人公にした表題作など、夫婦をテーマにした作品集。(新潮社 1600円+税)