「スイッチを押すとき」山田悠介著
2030年、洋平は八王子の施設から横浜センターへ異動になる。30年前、増加する若年層の自殺に対応するため国は、選出された子供を高ストレス環境に置き、その精神構造を解明するプロジェクトを立ち上げる。
無作為に選ばれた子供たちは5歳のときに心臓に装置を埋め込まれ、10歳で親と隔離。施設に収容された子供たちには、押すと心臓が停止するスイッチを持たせ、共同生活下に置くのだ。その施設の監視員を務める洋平は、横浜センターには最長ともいえる7年間も耐えて生き延びた4人が暮らしていると知り、驚く。洋平は彼らの力になりたいと同僚の目を盗み、個人的に接触を図る。
中高生に支持されるカリスマ作家による感動作。(河出書房新社 600円+税)