認知症の常識が変わる本特集
「その症状、本当に認知症ですか?」神谷達司著
年間3583人。これは、NHKが日本認知症学会などに行った調査で明らかになった、“認知症と誤診された患者の数”だ。
なぜこれほどまでに多いのか。原因のひとつが、認知症専門医の育成が追い付いていないこと。そしてもうひとつには、認知症とよく似た症状が起こる疾患が非常に多いことが挙げられる。例えば、頭蓋骨内の出血で脳が圧迫される慢性硬膜下血腫。MRIやCT検査で容易に分かるはずだが、カウンセリングのみで診断を下すクリニックでは誤診が起こりやすい。
また、甲状腺機能低下症でも認知症とよく似た物忘れが起きやすく、誤診を招きやすい。
高齢化の加速で認知症患者が増加するのは間違いない。しかし、誤診が多いという事実も知っておいた方がよさそうだ。(扶桑社 780円+税)