「いのちの旅『水俣学』への軌跡」原田正純著

公開日: 更新日:

 長年、水俣病患者に寄り添ってきた医師(2012年没)によるエッセー集。

 水俣病は、実に巨大な奥深い事件で「水俣病に映してみると世の中のさまざまなことが見えてくる」という。ゆえに、これからも研究を多角的に続け、将来に生かすべく「水俣学」を提唱し、その内容はどうあるべきか道を示す。さらに、大学病院の医師として患者を訪ねた折、検診を拒否することで「治らない病気を前にしたとき先生たちになにができるのですか」と無言の問いを突き付けられたという。

 自らの医学の原点をはじめ、患者たちの暮らしと戦い、国の政策への批判、海外の公害などをつづり、水俣病が決して特殊な事件ではなく、将来も起こりうる事件であると警告する。(岩波書店 860円+税)


【連載】文庫あらかると

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 2

    米挑戦表明の日本ハム上沢直之がやらかした「痛恨過ぎる悪手」…メジャースカウトが指摘

  3. 3

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  4. 4

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  5. 5

    巨人「FA3人取り」の痛すぎる人的代償…小林誠司はプロテクト漏れ濃厚、秋広優人は当落線上か

  1. 6

    斎藤元彦氏がまさかの“出戻り”知事復帰…兵庫県職員は「さらなるモンスター化」に戦々恐々

  2. 7

    「結婚願望」語りは予防線?それとも…Snow Man目黒蓮ファンがざわつく「犬」と「1年後」

  3. 8

    石破首相「集合写真」欠席に続き会議でも非礼…スマホいじり、座ったまま他国首脳と挨拶…《相手もカチンとくるで》とSNS

  4. 9

    W杯本番で「背番号10」を着ける森保J戦士は誰?久保建英、堂安律、南野拓実らで競争激化必至

  5. 10

    家族も困惑…阪神ドラ1大山悠輔を襲った“金本血縁”騒動