「罪の終わり」東山彰良著
2173年6月16日の小惑星衝突で文明は終焉を迎え、生き残った人類では、緊急避難として始まった食人が恒常化。自分の罪に苦しむ人々を救ったのが黒騎士と呼ばれたナサニエルだった。
彼は飢えた人々に肉を施し、彼を狙う殺し屋たちを次々に抹殺、手をかざしただけで病気を癒やしたなど数々の伝説に包まれている。彼に殺し屋を送り込んだ白聖書派のスカウトマン・ネイサンは、母親殺しの罪で服役中だったナサニエルが死後20年経った今も、人々に救世主として崇められているのはなぜか。それを探るために彼の生い立ちを調べ始める。
直木賞受賞後初の書き下ろし長編。受賞作とはがらりと作風が変わり、近未来を舞台に圧倒的世界観で紡がれる問題作。(新潮社 1500円+税)