「武器としての人口減社会」村上由美子著
35カ国の先進諸国が加盟するOECD(経済協力開発機構)の東京センター所長による政策提言書。
OECD統計を分析してみると、労働生産性や女性活躍推進、起業家精神など、各分野において日本は最低レベル。おまけに少子高齢化の波を受け、国家財政は緊迫、経済も低迷する残念な国にしか見えない。しかし、著者は少子高齢化の波を短期間で反転させることは不可能だが、逆にそれを強みとして他国と競争していくことは十分可能だという。
そのために必要な人的資源や社会インフラ、技術革新などの基本条件がここまで揃っている国は他にないからだ。
客観的な統計データを読み解きながら、人口減少を武器にして日本が進むべき道を考察する。(光文社 740円+税)