「旅芸人のいた風景」沖浦和光著

公開日: 更新日:

 日本の文化の基層をなし、民俗を豊かにしてきた「遊芸民」をテーマにした民衆文化論。

 近世、民衆社会に溶け込んでいた遊行者や遊芸民の多くは、家内安全・五穀豊穣・商売繁盛の予祝祈願、災いを除去する加持祈祷、占いなどの儀礼で生活していた。明治維新後、彼らは抑圧され次第に姿を消していったが、それでも著者が少年時代を過ごした昭和前期は、新春にはどこからともなく、門付け芸人がやって来たという。近世後期の資料によれば、京都・大坂・江戸だけで、門付け芸や大道芸は300種に及んだそうだ。彼ら遊芸民の多くは被差別民層だった。そうした遊芸民が、民間信仰や祭祀儀礼の歴史の中で果たしてきた役割を考察する。(河出書房新社 740円+税)

【連載】文庫あらかると

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    周囲にバカにされても…アンガールズ山根が無理にテレビに出たがらない理由

  2. 2

    「たばこ吸ってもいいですか」…新規大会主催者・前澤友作氏に問い合わせて一喝された国内男子ツアーの時代錯誤

  3. 3

    インドの高校生3人組が電気不要の冷蔵庫を発明! 世界的な環境賞受賞の快挙

  4. 4

    永野芽郁「キャスター」視聴率2ケタ陥落危機、炎上はTBSへ飛び火…韓国人俳優も主演もとんだトバッチリ

  5. 5

    田中圭が『悪者』で永野芽郁“二股不倫”騒動はおしまいか? 家族を裏切った重い代償

  1. 6

    のんが“改名騒動”以来11年ぶり民放ドラマ出演の背景…因縁の前事務所俳優とは共演NG懸念も

  2. 7

    ダウンタウン「サブスク配信」の打算と勝算……地上波テレビ“締め出し”からの逆転はあるか?

  3. 8

    1泊3000円! 新潟県燕市のゲーセン付き格安ホテル「公楽園」に息づく“昭和の遊び心”

  4. 9

    永野芽郁と橋本環奈…"元清純派"の2人でダメージが大きいのはどっち? 二股不倫とパワハラ&キス

  5. 10

    田中圭“まさかの二股"永野芽郁の裏切りにショック?…「第2の東出昌大」で払う不倫のツケ