「限りなく完璧に近い人々」マイケル・ブース著、黒田眞知訳
英国の大学の「人生の幸福度指数」調査でデンマークが1位になった。国家の富の配分を分析するジニ係数は北欧諸国で最下位で、平等な社会とはいえないし、基本税率はなんと42%。だが「人生がつらい」と考えている人はたったの1%しかいない。彼らは本気で世界で一番幸福な国民だと考えているわけではなく、多くのものを失った激動の歴史ゆえに手に入れたものに対して感謝する、つまり期待値が低いためではないのか。
デンマーク国民の幸福とはわれわれの「幸せ」とは別物で、自分の置かれた立場に満足することのようだ。北欧の人々の人生観に学ぶ、示唆に満ちた本。(KADOKAWA 2200円+税)