「英EU離脱!日本は円高に対処できるか」野口悠紀雄著
イギリスのEU離脱が世界と日本に及ぼす影響を論じた経済テキスト。
日本ではイギリスの決断は「移民の受け入れを拒否する身勝手なもので、孤立主義への逆戻り」という論調で伝えられている。しかし、問題の本質は国家統合の試みが正しいかどうかということであり、イギリスは大陸諸国との自由な経済取引を放棄したわけではないと指摘。問題はEU側にあることを解説し、EU分解の可能性に言及する。
一方で、イギリスのEU離脱やイタリアの金融危機の深刻化で円高傾向が加速すると予測。政権と日銀の経済・金融政策を批判し、今、必要なのは輸入物価の下落を国内物価の引き下げにつなげ、それによって実質賃金の上昇と実質消費の増大を目指すべきだと提案する。(ダイヤモンド社 1600円+税)