難民問題とブレグジット…急激に揺らぎつつあるEUの危機
「ユーロ恐慌」副島隆彦著
国際関係がらみの政治経済畑で独自の直言を得意とする評論家によるユーロ問題読解。この冬からドイツに端を発する「ヨーロッパ発の金融恐慌が世界を襲う」と冒頭から断言。ドイツ銀行が破綻寸前の状態にあり、そこにつけこんだアメリカが、サブプライムローン問題のときのドイツ銀行の責任を追及するかたちで莫大な制裁金を科そうとしているからだ。
本書はEUよりも米日露中など世界経済全体を視野にしているが、特徴は著者の“暴言大将”ぶり。イエレン米FRB議長に「嘘つき婆さん」と毒づき、民主党寄りのノーベル賞経済学者スティグリッツを「ワル」と一刀両断。黒田日銀総裁に至っては「ひとりで悦に入って盛り上がる」とにべもない。さすがトランプ勝利を予想した著者ならでは、というところ。(祥伝社 1600円+税)