鉄面皮の内側 プーチンのしたたかな政治手腕を精査
「プーチンの国家戦略」小泉悠著
先の東独の崩壊を目撃したプーチン。帰国後は祖国も崩壊。その直前、祖国に見切りをつけた彼はKGBを辞職。しかし9年後にはエリツィンを踏み台に大統領に就任した。以後、「強いロシア」を目指して皇帝のように強権を振るってきた。
ロシアの軍事・安全保障問題に詳しい著者によればロシアのいう「パートナー」とは互いを利用し合うしたたかな計算ずくの関係。日本を手玉にとることなど造作もないのだ。またクリミア侵攻を例に、西側諸国に後れを取るロシアが元ソ連地域へ軍事介入できるよう直接の武力行使と情報戦やプロパガンダを意図的に混交させた「ハイブリッド戦争」をいかに展開しているかを詳しく検討する。
プーチンはまたロシア正教会との関係も深く、空挺部隊にはパラシュート降下のできる従軍司祭までいるという。(東京堂出版 2200円+税)