人跡未踏の探検本特集
「東日本縦断 トコトコ歩き旅」原田俊美著
70歳を目前としたある日、住まいのある千葉県浦安市から故郷の青森県おいらせ町までの約800キロを歩いて旅したひとりの男がいた。きっかけは、「ニッポン縦断歩き旅」(クレイグ・マクラクラン著 小学館文庫)という一冊の本。1年かけて体づくりをし、歩くルートも入念に調査してスケジュールを組み、なかなか首を縦にふらない妻を説きふせて、2015年5月、やっと念願の旅に出た。
最初は一個人の旅だったはずが、噂を聞きつけたおいらせ町からは「おいらせ町ふるさと大使」を任命され、ツイッターに旅の模様を書き込むうちにマスコミからも取材されて次第に旅がオオゴトになっていく。千葉から都内、埼玉、茨城、栃木、福島、宮城、岩手、青森へと北上する途中に出会った人々と撮った記念写真や、震災に遭った東北や故郷に対する思いなども織り交ぜつつ、ただ歩くことで成し遂げた大冒険の記録は、なんとも若々しい。
(幻冬舎 1400円+税)