人跡未踏の探検本特集

公開日: 更新日:

「ロシア極東 秘境を歩く」相原秀起著

 戦争の痕跡がいまなお残る北千島・占守島の島々やサハリン、オホーツクは、日本の一般人が簡単には足を踏み入れることができない北の秘境。北方領土問題としてひとくくりにされ、なかなか光の当たらない日本とロシアの接点の地では、いったいどんなことがあり、どんな人々がいま生きているのか。

 本書は、日本とロシアの歴史の舞台となったそんな土地に降り立った記者が、自分の目で確かめ、自分の足で歩いて遭遇した出来事を考察とともにつづったエッセー集だ。ロシア政府から、国境地帯と指定されている千島列島に入るには、まずは国境警備隊の入域許可を取り付けなければならない。サハリンで10日間待たされた後ようやく許可を得るが、占守島へ渡る船が見つからないから、すべて現場に行ってから人脈をたぐりよせて解決していく。戦争の爪痕だけでなく、マンモスが埋まった永久凍土や、両国民が友好関係を築いた時代があったことも見えてくる。隣国なのに遠い国のようになってしまったロシア極東を改めて知ることができる。

(北海道大学出版会 2800円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    フジテレビ問題でヒアリングを拒否したタレントU氏の行動…局員B氏、中居正広氏と調査報告書に頻出

  2. 2

    “3悪人”呼ばわりされた佐々木恭子アナは第三者委調査で名誉回復? フジテレビ「新たな爆弾」とは

  3. 3

    「かなり時代錯誤な」と発言したフジ渡辺和洋アナに「どの口が!」の声 コンパニオンと職場で“ゲス不倫”の過去

  4. 4

    中居正広氏「性暴力認定」でも擁護するファンの倒錯…「アイドル依存」「推し活」の恐怖

  5. 5

    「よしもと中堅芸人」がオンカジ書類送検で大量離脱…“一番もったいない”と関係者が嘆く芸人は?

  1. 6

    菊間千乃氏はフジテレビ会見の翌日、2度も番組欠席のナゼ…第三者委調査でOB・OGアナも窮地

  2. 7

    入場まで2時間待ち!大阪万博テストランを視察した地元市議が惨状訴える…協会はメディア取材認めず

  3. 8

    米国で国産米が5キロ3000円で売られているナゾ…備蓄米放出後も店頭在庫は枯渇状態なのに

  4. 9

    うつ病で参議員を3カ月で辞職…水道橋博士さんが語るノンビリ銭湯生活と政治への関心

  5. 10

    巨人本拠地3連敗の裏に「頭脳流出」…投手陣が不安視していた開幕前からの懸念が現実に