「屋根をかける人」門井慶喜著
明治38年、アメリカ人のメレルは、キリスト教伝道者として来日。近江八幡の商業高校で英語教師として働くことになった彼は、立ち並ぶ建物を見てこの街が気に入る。到着早々、メレルを一人の男が訪ねてくる。同じ学校の英語教師の宮本だった。仏教徒の街で唯一のクリスチャンだった宮本は、メレルの着任を心待ちにしていたのだ。メレルの発案で、聖書を学ぶ会が始まる。人望が厚いメレルの元に大勢の生徒たちが集まるが、2年後、メレルは校長からクビを言い渡される。
西洋建築の設計を手掛ける一方で、メンソレータムを普及させた建築家で実業家のウィリアム・メレル・ヴォーリズ。帰化して、戦後、天皇制維持のために奔走し、日米関係の礎=屋根を築いたその生涯を描く評伝小説。(KADOKAWA 1600円+税)