「系外惑星と太陽系」井田茂氏
「TRAPPIST-1ですね。欧米では一大ニュースで、研究者も興奮していました。欧米人は生命の起源や地球外生命に熱狂しちゃうんです。これは僕の解釈ですが、欧米ではキリスト教文化の影響が大きい。神が生まれた地球は特別な場所と思いたい気持ちがあって、地球中心で考えがちなんです。でも、この20年で宇宙の多様性が明らかになり、欧米人も『教義か、科学か』のせめぎ合いなのだと思います」
一方、日本人は宗教も文化も多様性を受け止め、比較的冷静だという。
「欧米の熱狂に対して冷静な日本は、いいカウンターパートになっていると思います。地球や太陽系の理論だけにこだわると、宇宙の全体像が見えなくなってしまいますから」
本書では、この20年で明らかになった系外惑星の真実、さらには地球の成り立ちという原点に返り、ハビタブル惑星の多様性を論じている。
「95年以降の天文学界はいわばカオス状態。多様なアイデアが乱立し、ダイナミックな動きがある時期なので、学問として非常に面白いですよ」