「東京いい道、しぶい道」泉麻人著
散歩の達人が東京の裏道や横道、旧道などを歩く街歩きエッセー。
歩き始めは、都電荒川線の町屋二丁目の電停脇から延びる「いい感じの旧道」尾久本町通り。理髪店の軒先に並ぶオブジェに見とれていたら、店主に声をかけられ缶コーヒーをごちそうになり、その先の割烹に「阿部定事件」で知られる尾久の三業地時代の名残を感じるなど。尾久駅を過ぎて梶原電停まで約2・9キロを、興味の赴くままに沿道の店に立ち寄りながら散策。その他、鹿島大神のお供をしていた神鹿にちなんだ地名から付けられた新小岩から篠崎へと抜ける「鹿骨街道」や、温泉・銭湯が集中する名もなき大田区蒲田の通りで温泉行脚など。39のルートをのんびり案内。(中央公論新社 1000円+税)