「字が汚い」新保信長氏
「練習帳は3、4冊やりましたが、漠然と練習してもダメですね。でも気が付いたこともあるんです。それは、まずは真っすぐな線が引けないとダメだってこと。これが意外に難しいんですが」
美しい字を書くには、脳に「美しい字」のイメージがあり、そのイメージを再現できることが必須。そして、それには一にも二にも真っすぐに線を引ける技術が必要なのだ。
「デッサン力のある人ならさぞかし美文字だろうと思い、画家の山口晃氏や、デザイナーの寄藤文平氏に話を聞いてみました。彼らの字に対する感覚は、ちょっと違っていてデザインとして捉えているんですね。
たとえば部分よりも全体のバランスが大事だとか、どのような形で書けばおさまりがいいかなどと考えることは、僕にはなかった発想。字の大きさが揃ってない、中心線が通ってないことが字が汚く見える原因のひとつだと発見しました」
著者は、さらに「きちんとした字が書ける人とそうでない人の違いはどこにあるのか」と、編集者やライターなど字に関わりのある人たちに取材を敢行。やがて考察対象は、政治家の揮毫、犯罪者の文字にまで及び、そこにある共通点を見つけたという。