夏休みに知識をバージョンアップ 学び直し「教科書本」特集
「人生のすてきな大問題」桐光学園中学校・高等学校編
学生時代、いつもの授業だと居眠りしたり落書きしたりで身が入らないのに、たまに外部から来た先生の特別講義の機会があると面白くて目が輝いたという経験はないだろうか。そんな人にぜひお薦めなのが本書。さまざまな学問分野における第一人者を定期的に学校に招いている神奈川県の私立桐光学園は、2007年度からその講義を「高校生と考えるシリーズ」として書籍化しており、本書はその第3弾にあたる。
登場するのは、漫画家の竹宮惠子、数学者の森田真生、哲学者の内山節、政治学者の苅部直、ブックデザイナーの松田行正など20人。たとえば「世界とは日本の外に広がっているものと考えるべきですか」という質問を受けて「日本は窓一つない映画館のようで誰かが出入りすると早く扉を閉めろと声をかけられるようだという意味ではイエス、日本も世界の一部であり世界とつながっているという意味ではノー」と文芸評論家の加藤典洋は答えている。
414ページにも及ぶ分厚い冊子だが、知的好奇心が走り出せば、あっという間に読める。(左右社 1700円+税)