「中学生棋士」谷川浩司著
注目の藤井聡太四段をはじめ、著者自らも名を連ねる歴代5人の中学生棋士の強さの秘密に迫るノンフィクション。
著者が藤井四段と初めて会ったのは彼が小学校2年のとき。イベントで同時に相手にした5人のうちの1人が彼だった。著者が飛車と角を落とすハンディキャップ戦で、なかなか勝負がつかず、「引き分け」を提案した途端、彼は激しく泣き出したという。愛知県瀬戸市の彼の実家を訪ね、本人や母親の裕子さんらを取材。5歳のときに祖母と一緒にルールを覚えたという将棋との出合いから、両親とも数学が苦手だという家庭環境、角と桂馬を使った卓越した終盤の構想力が持ち味というその棋風、そしてその能力を培った詰め将棋など。その才能開花の鍵は何かを探る。
(KADOKAWA 800円+税)